• 虐待と歯科の関係(学校歯科保健協議会)

 

7月12日に川崎市歯科医師会・川崎市教育委員会共催の学校歯科保健協議会に出席しました。

これは主に川崎市内の公立小中高等学校の学校歯科医を勤めている歯科医師と養護教諭を対象とした講習会です。

今回は、『ストップ!!子ども虐待』をテーマにふたつの講演がありました。

 

はじめに、「子どもを虐待・マルトリートメントからまもるためにー歯科法医学における損傷・病態のみかたー」との演題で日本歯科大学歯科法医学教授である都築 民幸先生の講演がありました。

目を背けたくなるような、実際の写真を示され具体的に教えていただきました。傷や痣などは時間経過とともに変化するので、写真で大きさや色などを記録することの重要性を強調されました。スケッチでも良いそうです。

ちなみにマルトリートメントという言葉は聞きなれないと思います。

「大人による子どもに対する不適切な関わり」

という意味であり、「虐待」よりはやや弱い表現です。

 

次に「子ども虐待を見逃さないために必要なこと~学校歯科医と養護教諭とのコミニケーション~」との演題で川崎市歯科医師会会員である川越 元久先生の講演がありました。

私と同じ開業医である先生が虐待に取り組んできた経緯と実際の事例を話されました。

川崎市歯科医師会では、2007年からこの問題に取り組んでおり、その当時、地域保健部地域保健委員会という部署に私も所属し川越先生と一緒に活動しておりました。児童相談所に数回検診にも行きましたので、その当時を思い出し非常に感慨深かったです。

ネグレクト等の虐待を受けている子どもが、開業歯科医院に来院することは、まずありえません。

1歳6か月児健診・3歳児健診・学校歯科健診などで、「多数のむし歯・口腔内の清掃不良・不潔な衣服」などの不自然な感じに気づくことが大事です。但し、多数のむし歯=(イコール)虐待ではありませんので注意が必要です。

 

私も、健診時に違和感を感じた時は、養護教諭に伝えるようにしております。関係者で情報を共有することが大事であり、そうすることで虐待の発見・予防に繋がっていくと考えております。