2月9日に川﨑市立多摩病院シリーズ15回目として「骨粗鬆症患者の医科歯科連携」をテーマに学術講演会が行われました。
医科歯科連携ということで、今回は初めて川崎市歯科医師会と共催となりました。
昨年10月、多摩病院に「骨粗鬆症外来」が開設されたことをうけ、今回の企画となりました。
担当されている総合診療科の西迫 尚先生にまずご講演いただき、その後、川﨑市立多摩病院歯科口腔外科の石井先生、多摩区歯科医師会副会長の鈴木先生を交えてシンポジウム形式で骨粗鬆症に関する医科歯科連携について意見交換が行われました。
その後、歯科から医科へ、医科から歯科への骨粗鬆症専用の情報提供書が紹介されました。記入する部分が簡素化されるとやりとりもより簡便になるので非常に助かると思います。
2003年に骨粗鬆症に対して処方されるビスホスホネート(BP)製剤の重大な副作用として抜歯後などの顎骨壊死の報告がありました。
当初は、注射薬の場合であり、服薬では可能性は低いとされていましたが、実際には多摩病院でも服薬既往歴だけの方で顎骨壊死の患者様が割合として多くありました。
臨床医である我々も困惑し、BP製剤を服用されている患者様の抜歯に際し躊躇することもありました。
その後、3年以上服薬した場合や、糖尿病・膠原病等免疫力が低下する疾患をお持ちの患者様の場合は、3か月休薬し抜歯、その後2か月経過観察し、抜歯したところの治癒を確認したら服薬を再開するというポジションペーパーが出ましたが、確かな指針となるガイドラインと違い、ポジションペーパーは単なる状況・情報の提示です。
現在は、休薬したことで骨壊死が起こらないという根拠は全くないとされております。
結局、そういった情報を患者様に十分伝え相談したうえで、抜歯するかしないかを決定するしかありません。
今後も十分説明し納得していただいたうえで決定していきたいと思います。